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～約束～
『とりあえず』
『ブラジャー外しておいで』
手を繋ぎ
歩き出した私の耳元で
拓海が囁く
駅改札口を抜けた
みどりの窓口で
いつもの待ち合わせ
拓海は私より
早く来ている
たまには抜かしたいから
どのくらい前に来ているか
聞いてみたけど
彼の答えは
足早に近付く私の姿に
欲情するから
俺より早くこなくていいんだよ
って言われてしまった･･･
拓海と私は
ネットの掲示板で知り合った
スレのタイトルは
『不満だらけの日常に』
不満だらけの毎日を
最初は読んでいただけだったけど
そのうちに
書き込みたくなった
いわゆる
私のネットデビュー
いつも
私が書き込むと
ソレについて
返事をくれていたのが
拓海だった
いつの間にか
チャットをできるようになり
メアド交換し
個人的にメールで繋がった
そこから会うまでは
あっという間の出来事だった
『和美ちゃんはどんな女性なんだろう』
『会いたいな』
ドキッとした
そんな一言で
私の心は舞い上がり
メールでの繋がりが
貴重な毎日になり
不満だらけの日常から
いつの間にか
解放されていて
楽しくて
幸せな日常へと
変わっていた
私にとって
拓海は救世主だ
『会いたいよ』
『和美を抱きしめたいよ』
『でも・・・』
『怖いなぁ』
『会ってがっかりされたら』
『大丈夫だよ』
『俺は君を解放してあげられるから』
意味のわからないその言葉に
引きずられるように
逢う約束をしていた
いつの間にか
『会いたい』の漢字から
『逢いたい』へと
思いと共に
漢字までも変わっていった
～解放～